高知県黒潮町の金子光さんは、篤農家の下で1年間研修を受け、3年前に就農した。ブランドイチゴ「おおきみ」を栽培する。当初は「さちのか」も栽培していたが、昨年から作付面積を広げておおきみ1本に品種を絞った。
就農の決め手は、消防団仲間の農家から研修制度やレンタルハウスなどの支援事業を聞いたこと。子どもの頃から両親がイチゴを栽培し、資材が揃っていたことも就農を後押しした。長年勤めた飲食店を退職し、イチゴ農家に転身した。
温度管理が自動でできるハウス14.4アールで、両親と3人で栽培する。おおきみは平均果重が20g以上の大玉で、糖度が15前後と高い。一方で、通常のイチゴより着色が弱いため、冬でも28度以上に保つなど、温度管理が欠かせない。マルチの色を白にすることで、光の反射による着色対策も講じる。
また、花数が少ない分、摘果作業も少ない。収穫時期でも週3日の収穫で間に合うことから労力軽減が図れるが、「実を残し過ぎても、株を作り過ぎてもいけない」と、摘果の見極めには慎重だ。
大玉で形が良い物は贈答用として化粧箱で出荷する。「箱を作って詰める作業は手間がかかるが、品種をおおきみに絞ったことで栽培管理を効率化できた」と微笑む。一株ひと株を大事に育て、全体の7割を化粧箱で出荷する。
現在、県園芸連を通じて大阪と東京の市場に出荷、アジア6カ国に輸出もしている。「のびしろのあるイチゴなので、知名度を上げるように努めたい」と意気込む。
幡多地区中村支所おおきみ部会の部員が増えることも期待する。部会は月に1回全部員のほ場を巡回し、栽培管理の統一を図っている。「栽培が初めてでも心強い」とアピールする